Windowsの電源オプションにUSBのセレクティブサスペンドなどが表示されない時の設定

概要

Windowsではメーカー独自カスタマイズ等によって、一部の電源オプション項目が「非表示」状態になっており、通常の操作では設定画面に表示されない場合があります。こうした項目はレジストリで設定値(Attributes)を変更することで、電源オプションの「詳細設定」に表示させることが可能です。
以下では「USBセレクティブサスペンド」を含むいくつかの代表的な設定を例に、表示方法(レジストリ操作)の手順をご紹介します。

注意

  • レジストリの変更はWindowsの動作に大きく影響を与える可能性があります。 必ず自己責任で行ってください。
  • 作業前に「レジストリのバックアップ」または「システムの復元ポイント」を作成しておくと、安全性が高まります。
  • レジストリエディタを扱う場合、管理者権限が必要です(コマンドプロンプト/PowerShellからレジストリを操作する場合も同様)。

レジストリの変更で電源オプションを表示する基本手順

管理者権限 で「コマンドプロンプト」または「Windows PowerShell」を起動する。「REG ADD」コマンドで、対象の設定キーに対して「Attributes」値を 2 に変更する。

  1. 既定では「Attributes」値が 10 になっており、これが「非表示」の原因になっている場合があります。
  2. 2 に変更すると、電源オプションの詳細設定画面に該当の項目が表示されるようになります。
  3. コマンド実行後、コントロールパネルの 「電源オプション」>「プラン設定の変更」>「詳細な電源設定」 を再度開き、該当設定が表示されているか確認します。

代表的な設定のGUIDとREG ADDコマンド例

PowerShellやTerminalを利用する時は、管理者として実行で開いてください。
管理者権限なしで開くとコマンドは拒否されます。

1. USB セレクティブサスペンドの設定

  • 設定GUID: 2a737441-1930-4402-8d77-b2bebba308a3 (USB selective suspend)

コマンド例

REG ADD "HKLM\SYSTEM\CurrentControlSet\Control\Power\PowerSettings\2a737441-1930-4402-8d77-b2bebba308a3" /v Attributes /t REG_DWORD /d 2 /f

実行後、「電源オプション」>「詳細な電源設定」 の「USB 設定」に「USBのセレクティブサスペンドの設定」が表示されていない場合も、上記を実行すれば表示される(=設定変更が可能になる)ことがあります。

2. システムが勝手に再スリープに入るのを防ぐ:System unattended sleep timeout

  • サブグループGUID: 238c9fa8-0aad-41ed-83f4-97be242c8f20 (Sleep Settings)
  • 設定GUID: 7bc4a2f9-d8fc-4469-b07b-33eb785aaca0 (System unattended sleep timeout)

コマンド例

REG ADD "HKLM\SYSTEM\CurrentControlSet\Control\Power\PowerSettings\238c9fa8-0aad-41ed-83f4-97be242c8f20\7bc4a2f9-d8fc-4469-b07b-33eb785aaca0" /v Attributes /t REG_DWORD /d 2 /f

これにより、スリープ関連の詳細設定に「システムの未操作時スリープタイムアウト(Unattended Sleep Timeout)」が表示されるようになります。

SSDやHDDが接続されたPCで、リンク電源管理(LPM)が非表示になっている場合があります。これはSATA接続(AHCI)時の省電力設定です。機種やドライバによってGUIDが異なる場合がありますが、以下は代表例です。

  • 設定GUID: 0b2d69d7-a2a1-449c-9680-f91c70521c60 (AHCI Link Power Management – HIPM/DIPM 等)

コマンド例

REG ADD "HKLM\SYSTEM\CurrentControlSet\Control\Power\PowerSettings\0012ee47-9041-4b5d-9b77-535fba8b1442\0b2d69d7-a2a1-449c-9680-f91c70521c60" /v Attributes /t REG_DWORD /d 2 /f

これで、詳細な電源設定の「ハードディスク」項目にAHCI LPMの詳細設定が出てくる場合があります。

実際にGUI(レジストリエディタ)で変更する場合

レジストリはコマンド以外にもエディタを使った設定方法があります。次の手順です。

  1. 「レジストリエディタ」 を管理者権限で起動します。
  2. 以下の階層へ移動します(例:USBセレクティブサスペンドの場合)
    HKEY_LOCAL_MACHINE
    └ SYSTEM
    └ CurrentControlSet
    └ Control
    └ Power
    └ PowerSettings
    └ 2a737441-1930-4402-8d77-b2bebba308a3
  3. 右ペインにある Attributes の値を 2(16進数)に変更し、レジストリエディタを閉じる。
  4. コントロールパネル → 電源オプション → プラン設定の変更 → 詳細な電源設定 で確認します。

まとめ

  • メーカーや機種のカスタマイズ で電源オプションの詳細設定が非表示となっているケースがある。
  • レジストリ の該当GUID下にある Attributes2 に変更すると、電源オプションの「詳細設定」で項目が表示され、設定を変更できるようになる。
  • レジストリ編集時は必ず 管理者権限 を使い、事前のバックアップをして自己責任で実施する。

こうした手順を踏むことで、通常は隠れている電源オプションを表示させられます。特にUSB機器がスリープ復帰後に切断される場合などには、「USBセレクティブサスペンド」の無効化を検討するとトラブル回避に役立ちます。